令和6年度(第111代)電気学会会長 伏見 信也

2024/05/31

このたび,電気学会の第111代会長を務めることになりました。伝統と実績のある電気学会会長の使命と職責の重さに、身の引き締まる思いです。これから1年間,会員の皆様とともに学会の発展のために尽力する所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。

現在,新型コロナウイルスの流行は収束したものの、地球環境問題や気候変動、更に我が国においては,少子高齢化・地域の過疎化が続いており、これら社会課題の解決に向けて電気の技術の重要性はますます大きくなっています。一方、デジタル技術の進展と共に、現在はインタネットからあらゆる情報が得られ、オンラインで研究仲間が簡単に集まることができる時代でもあります。このこともあってか、多くの学会で会員数は減少傾向にあり、電気学会も例外ではありません。会員にとって電気学会の価値は何か、どのようにしてその価値を高められるか、を改めて考え、具体化することが必要になっています。

電気学会は、その定款の中で、「発表,連絡,知識意見の交換調整及び情報の提供等を行う場となる」と、その役割を明確に定義しています。電気学会とは「場」である、との原点に立ち戻り、電気学会の「場」の仕組みを発展・進化させることで、電気学会に対する社会貢献への期待に応えると共に、会員各位にとって電気学会を更に大きな価値・魅力のある存在としたいと考えます。この方針は、2022年度に策定され、その取組みを進めている電気学会の「グランドデザイン」の基本的な考え方でもあります。

定款にある“発表,連絡,知識意見の交換調整を行う場”(「人の場」)は、これまで会員同士の意見交換を行うことが主な役割でした。これに加え、社会課題の現場におられる方々と会員各位とが意見交換を行う「人の場」を充実させ、社会解決への貢献に向けた議論を活性化します。また、定款にある“情報の提供を行う場”(「情報の場」)に関しては、生成AIを活用し、電気学会の論文、技術報告、動画等、様々なコンテンツに対し、高度な検索や他国語によるアクセス等を実現することを検討します。生成AIには技術的、法的な課題もまだあり、時間がかかるかも知れませんが、実現できれば電気学会の「情報の場」の価値の向上、学会のDX化が大きく進展すると考えます。

これらの取り組みにより、会員各位にとって、また社会にとっての電気学会の価値・魅力の向上を図りたいと考えます。引き続き、会員の皆様のご支援・ご協力を賜りますようお願い申し上げます。