電気学会 全国大会 シンポジウム 研究・イノベーション学会との連携企画
2022/03/08
2050年カーボンニュートラルを達成するためには
-欧米および日本の政策動向からイノベーションを社会実装するための道筋を考える-
2050年カーボンニュートラルの実現に向けて,日本の産学官が連携して産業構造や経済社会の変革に着手し始めている。また,欧米でも類似の動きはあり,例えば,米国アマゾンでは,配送用車両のEV化や,使用エネルギーの100%再エネ化などを通して2040年までに事業活動からのCO2排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルを目指している。また,欧州委員会では環境保護を軸にした産業転換,経済成長および雇用創出を図るための「サーキュラーエコノミー(循環型経済)行動計画」を発表している。このように事業活動における2040年カーボンニュートラルを目指している米国アマゾン,持続可能社会の構築に向けて2050年サーキュラーエコノミー政策を進めている欧州各国の動きと合わせて,日本の産学官における各種政策や活動計画を概観することにより,2050年カーボンニュートラルの実現に向けたイノベーションの社会実装の道筋を探る。なお,本シンポジウムには研究・イノベーション学会の専門家にもご登壇いただき,他学会との連携を通して電気学会の活動の活発化・拡大化のトリガーとする。
日 時 :2022年3月21日(月)14時~18時
開催方法:オンライン
主 催 :電気学会
共 催 :研究・イノベーション学会
資料および実施報告書:
当日の資料は,下記の講演者覧にあります。
総合討論の実施報告書はこちら。
プログラム:
【講演】
[座長] 馬場 吉弘 同志社大学 [座長紹介] 1994年 東京大学工学部電気工学科卒業 1999年 同大学院修了,博士(工学) 2012年 同志社大学教授,現在に至る 2009年から2018年までIEEE Trans. Power Deliveryエディタ 2020年から電気学会B部門副部門長。IEEE,IETおよび電気学会フェロー |
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[シンポジウム開催経緯 講演者] 南 祐二 東芝エネルギーシステムズ株式会社 ◆講演資料 [概要] 2020年10月,研究・イノベーション学会の大会において,「電気学会と研究・イノベーション学会の連携企画」を開催し,両学会会長(当時,斉藤会長,原山会長)による対談を実施した。イノベーション研究の文脈で,両学会のさらなる連携を進める次のステップとして,本シンポジウムを企画した。 [講師紹介] 1991年4月,株式会社東芝に入社。電力系統向け保護リレーの開発部門長,電力流通システム事業部の電力系統技術部長を担い,2017 年10月,事業の分社化に伴い,東芝エネルギーシステム株式会社に異動,2018年6月より系統ソリューション技師長(現職)として,同社の電力系統事業領域の技術行政を担当する。学会活動では,2019年1月~2020年12月,IEEE Power&Energy Society Japan Joint ChapterのChairman,2020年6月~2021年5月,電気学会副会長(総務企画)を歴任する。 |
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[講演者] 大崎 博之 東京大学 大学院新領域創成科学研究科 先端エネルギー工学専攻 教授 電気学会会長 [講演題目] カーボンニュートラル達成へのアプローチ ~アカデミアの視点から~ ◆講演資料 [講演概要] カーボンニュートラル達成のための電気学術・技術の動向と長期的展望について,再生可能エネルギーの主力電源化に必要な機器やシステム技術,運輸部門の電動化に関わる先端技術を中心に,アカデミアの視点から講演する。 [講師紹介] 1983年3月 東京大学工学部電気工学科卒業 1988年3月 東京大学大学院工学系研究科電気工学専門課程 博士課程修了 1988年4月 東京大学工学部電気工学科助手 講師,助教授を経て2004年9月から現職 専門分野:電気エネルギー変換機器工学,超電導工学,リニアドライブ・磁気浮上・超電導応用機器・他 標準化活動(電気用品,電気設備関係,鉄道,電磁両立性(EMC),他) |
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[講演者] 勝野 哲 中部電力株式会社 代表取締役会長 電気学会会長代理 [講演題目] カーボンニュートラル達成へのアプローチ ~産業界の視点から~ ◆講演資料 [講演概要] カーボンニュートラルの達成においては,イノベーションと経済成長の両立という観点が重要となる。国全体でどのような取り組みが必要となるか,その際に併せ持つべき視点は何かについて論じるとともに,産業界の具体的取り組みを紹介する。 [講師紹介] 1977年 中部電力株式会社入社 2003年 本店経営戦略本部 設備総合・広域G 部長 以後,執行役員 岡崎支店長,常務執行役員 東京支社長,副社長執行役員 経営戦略本部長等を経て, 2015年 代表取締役社長執行役員 2020年 現職 |
(休 憩)
[座長] 桑島 修一郎 京都大学大学院総合生存学館特定教授 研究・イノベーション学会理事 [座長紹介] 2000年九州大学大学院理学研究科博士後期課程修了。 京都大学大学院工学研究科科学技術振興助教、講師を経て、2009年京都大学産官学連携センター准教授。 2010年より経済産業省産業技術環境局技術戦略政策官としてイノベーション政策に従事。 2013年から京都大学産官学連携本部特任教授として産官学連携支援を担当、2021年より現職。 研究・イノベーション学会理事。博士(理学)。 |
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[講演者] 渡辺 千仭 東京工業大学名誉教授 研究・イノベーション学会 国際問題分科会主査 国際応用システム分析研究所(IIASA)上席客員研究員 [講演題目] アマゾンのカーボンニュートラル戦略と日本のR&D変容への示唆 ◆講演資料 [講演概要] 世界トップのR&D,ユーザー主導イノベーション,ステークホルダー資本主義という1994年来構築してきたアセットを,時代的課題たる脱炭素に昇華させるアマゾンの挑戦を分析して日本のR&D 変容への示唆を得る。 [講師紹介] 1968年 東京大学工学部都市工学科卒業,1992年 同大学博士(学術) 1968年 通産省入省,1993年 工業技術院技術審議官 1994年 国際応用システム分析研究所(IIASA)技術顧問 1995年 東京工業大学教授 (経営工学) 2009年 シンガポール国立大学客員教授 2015年 フィンランドユヴァスキュラ大学研究教授 |
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[講演者] 妹尾 堅一郎 NPO法人産学連携推進機構 理事長 [講演題目] エネ循環とモノ循環,それらを支える情報循環 ~サーキュラーエコノミーの俯瞰図と政策的戦略を検討する~ ◆講演資料 [講演概要] 資源枯渇と環境汚染により線形型消費主導経済が限界を迎え,サーキュラーエコノミー(循環経済)への移行が急務だ。今後の産業社会資源である「エネルギー,モノ,情報」の関係について,モノ観点からの議論をご紹介する。 [講師紹介] 慶應義塾大学経済学部卒業後,富士写真フイルム(株)を経て,英国国立ランカスター大学経営大学院博士課程満期退学。慶應義塾大学大学院教授,東京大学先端科学技術研究センター特任教授,一橋大学大学院MBA客員教授等を歴任,現在も東京大学で大学院生や社会人を指導。 日本知財学会理事。研究・イノベーション学会参与(前副会長)。コンピュータ利用教育学会終身会員(元会長)。内閣知的財産戦略本部専門調査会会長,農水省技術会議委員等を歴任。複数企業で社外取締役等を兼務。 著訳書多数。『技術で勝る日本が,なぜ事業で負けるのか』(ダイヤモンド社)は題名が流行語にもなった。『週刊ダイヤモンド』や『週刊東洋経済』で長期連載の後,現在も『日刊工業新聞』をはじめ数誌で連載を続ける。 |
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[講演者] 原山 優子 国立研究開発法人理化学研究所理事 [講演題目] カーボンニュートラル達成へのアプローチ ~科学技術イノベーション政策の視点から~ ◆講演資料 [講演概要] 2018年の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の特別報告書を機にカーボンニュートラル達成に向けた取り組みが加速した。政府には様々な政策手段の動員が求められるが,ここでは,科学技術イノベーション政策に主軸を置き,日本における取り組みを概観する。 [講師紹介] 1973年,フランス・ブザンソン大学理学部卒業。1996年,スイス・ジュネーブ大学院教育学研究科博士課程修了(教育学博士)。1997年,同大学院経済学研究科博士課程修了(経済学博士)。 ジュネーブ大学経済学部助教授,東北大学大学院工学研究科教授,経済協力開発機構(OECD)科学技術産業局次長を経て,2013年3月から2018年2月まで総合科学技術会議議員(常勤)。2020年4月より国立研究開発法人理化学研究所の理事として,国際協力,広報,イノベーションデザイン,ダイバーシティ,若手研究人材育成,コンプライアンス,SDGs,環境資源科学研究と研究環境に係る幅広い業務に従事,現在に至る。2011年,フランス政府レジオン・ドヌール勲章シュヴァリエ受賞。 |
(休 憩)
【総合討論】
[モデレータ] 蘆立修一 公益財団法人 東電記念財団 常務理事 電気学会 B部門長 [モデレータ紹介] 1992年 慶応義塾大学大学院理工学研究科電気工学専攻修了,博士(工学) 同年 東京電力株式会社入社 2009年 東京支店支店長付 2016年 経営技術戦略研究所副所長 兼 技術開発部長 2018年 技術・環境戦略ユニット技術統括室室長 を経て 2020年 現在に至る [パネリスト(講演者)] 大崎 博之 勝野 哲 渡辺 千仭 妹尾 堅一郎 原山 優子 |
以上